最近の、ホームページや新聞チラシでは、
クロスの値段と襖の張り替え の値段が、工務店の評価の目安にもなっているようです。
どうしてこのふたつの工事ばかりが、イジメにあっているのか私には、判りません。
クロスに付いては、値段の差額が大きいクロス工事
でも書いたので、今回は書きませんが、
今回は、襖について書きたいと思います。
クロスは、現場で色々なことが発生するので、まだ値段のイイワケ(?)が出来たのですが、
襖は、そう言う訳にはいきません。
1枚幾らの世界です。
昔ながらの日本家屋の家なら、襖も30枚とか40枚もあったでしょうが、
現代の和洋折衷の住宅では、2枚か多くてもせいぜい7〜8枚です。
2枚や4枚の張り替えの為に、
現場に引き取りに行って、工場で張り替えて、また取り付けてと、これだけの手間を考えたら、
どれぐらいの値段が正当だと思いますか?
これだけの事をすれば、移動時間も含めて半日は掛かると考えるの普通だと思います。
と考えれば、名古屋近郊の職人さんの日当は、2万円から2万5千円が普通なので、
半日の1万円プラス襖紙だと思います。
しかし、チラシには、1枚2000円を下回る値段が書いてあります。
例えば2枚では、4000円にしかなりません。ここから襖紙の代金とガソリン代金を引いたら、
高校生も見向きもしないバイト代です。
簡単に言えば、1枚2000円程度の表示価格は、
「どこかおかしい」と思いませんか?
現実には、工務店へは、職人さんから、
見積の時も、請求書にも
半日の手間代プラス紙代金の値段が書いてあります。
当然これでは赤字です。
さて、この赤字を工務店は、どうやって埋めるかと言えば、
他の工事に(木工事とか、電気工事など)混ぜてしまうと言う方法しかありません。
つまり、工務店はトータルで黒字になれば、
『明細など無視』という乱暴な言い方になってしまいます。
(でもこれでは、明細のもつ信憑性はどこに行ってしまうんでしょう???
どれほど細かい明細でも、何の意味も無くなってしてしまうと思うのですが?)
しかし、このような営業形態の工務店がもっとも困る事は、
襖の張替えだけ頼まれた場合です。
1枚2000円と表示しているから、どんなことがあってもそれ以上お客様に請求出来ません。
4枚頼まれても8000円!
つまり少なくても1万円以上の赤字は、必至です。
皆さんがこの工務店の経営者だったら、どうしますか?
ここからが工務店の腕の見せ所です。
まず、チラシで表示していない他の高い商品をお客様に見せるんです。
チラシに書いてある襖は、あくまでも『客寄せ』です。
このままでは、赤字なので、同じ本数ならより良いもので注文して頂ければ、
赤字も少しは埋まります。
当然、価格の表示をしていないので、自由な値段を付ける事が出来ますが、
襖紙を変更しただけで、2倍も3倍も 極端に値段が上がっては、
お客様に、不信感を抱かせてしまいます。でも赤字には、したくありません。
ですから、ここで最強の助っ人を呼ぶんです。(大袈裟かな?)
それは、仏間の襖です。
いくら日本人が、無宗教だと言っても、仏間は特別だと思います。
仏壇の値段が高いように、
仏間の襖も、それに見合って極端に高いんです。
勿論、それなりの訳もちゃんとあります。
金具が古ければ交換するし、(いかにも高そうな金物でしょ?)
張り替えるのにも金具を外さないと出来ないので、
手間も掛かります。
それに襖紙では無く、高級な布を使うのが一般的です。
この仏間の襖の張り替えがセットになって、初めて黒字になります。
(めでたし!めでたし!!)
では、お客様がどうしても、
1枚とか2枚の襖しか張り替える気持ちが無い時は、、、、、
そんな工務店は、赤字の道しか残されていません。 合掌、、、。
安い事を強調している値段表示は、
どこかに無理が出てくると思う。
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